適正
※以下は、偶然手に取った本を読んだ私の、一読者としての意見・感想です。それ以上でも、それ以下でもありませんので、記事を閲覧なさる方は、ご留意いただきますようお願い申し上げます。(2008年6月4日)
「就職適性試験対応 性格検査には『正答』がある!」(河瀬厚著 2007年9月26日 自由国民社)を読んで。こんな本を出版するなと声を大にして言いたい。キャリアは違えど、国文学科卒業~心理学科卒業という経緯は私と同じ。ということで、著者が著述していることは全て正しいと断言できる。国文学的な言葉の解釈の問題も、矢田部ギルフォード(YG)検査の尺度の問題も、質問紙法のメリット・デメリットも、性格検査の結果はあくまでも仮説でしかないということも、内田クレペリンの傾向と対策も、全てが正しく、また実践的でもある。
しかしながら、正答があるということは、誤答も存在するということ。言葉の意味を解釈し、正答に○をつければ良適性とみなされるかもしれないが、誤答をした人間に適性がないとは必ずしも言えない。性格というものは表裏一体であり、ユング、クレッチマー、シェルドン、シュプランガー、シュタイナー、ディルタイ、フロム、ホーナイ、オールポート等々、様々な分類がある。
また、性格(character)に気質(temperament)や人格(personality)まで加えると、数え切れないほどの人柄が類別される。それをわかっていながら、ただ次の段階へ進むためだけの企画を立案した出版元に対して、質問紙法の正答とやらをつらつらと書き連ねた著者。恥ずかしくないのか!?
この本を上手く利用できる人なら、恐らくこの本が手元になくても着実にステップアップしていくだろう。“自分らしさ”を存分に発揮して。しかし、就職活動に対して少なからず不安を抱いている人間、自信のない人間がこの本を手に取り、正答を学んだとしたら、パーソナリティを失う可能性が高いと思う。推測でこの記事を書いているわけではない。まさに実体験。
私は大学3~4年当時、性格適性検査の裏側を知っていた。SPIはカウンセリングに用いられる各種質問紙に極めて近く、それによって抑うつ性等々、個人的プライバシーに関わるデリケートな側面が暴かれてしまうことを知っていた。自分が鬱病傾向にあることも、神経症傾向にあることも知っていた。この本で言うところの“正答”と“誤答”の間で葛藤し、自分が何者であるのか全くわからなくなってしまった。その結果、面接中にパニック発作を起こし、今に至る。
この本はそんな危険性を秘めている。加えて、質問紙法だけでは性格は見極められないということまで書いてある。それならば、こんな本など出版せず、その地位を活かして企業に提言して欲しい。十中八九、時間はかかるだろう。しかし、本当に必要としている人材に巡り合いたいのならば、まず第一に面接で人となりを知り、その上でテストバッテリーを組んで絞り込んだ方が、よほど適性を把握できるのだと。
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